髙木祐来のブログ

髙木祐来の日常が述べられていると思う。

ナレッジベースとしてのAIブラウザ

 昨今、情報社会といわれるように、世界において情報は溢れかえっていて、それらの情報を円滑に整理し手の届く範囲に収めるナレッジベースが注目されている。また、最近ではCometやChatGPT AtlasといったAIブラウザが台頭し、自然言語による検索が可能になっている。そこで私は、ナレッジベースとAIブラウザを融合した、ハイパーテキストをナレッジとするAI検索機能付きの、ナレッジAIブラウザを提案する。
 このブラウザは、ナレッジベースとAIブラウザを融合すると述べたが、その二つの参考となる既存ソフトをまず説明する。第一にナレッジベースは、Obsidianがその代表として挙げられ、それはマークダウン形式のテキストファイルや画像を管理およびリンクすることができる。次に、AIブラウザというと、最近は自動操作が注目されているが、ここで融合したい特質はそれではない。ここで注目するのはChatGPT Atlasのブラウザメモリ機能であり、過去に見たウェブページを自然言語で参照できるという機能に注目したい。これは膨大なページ群から都合・文脈にあった情報を引き出すことができる。つまり私は、この二つの、Obsidianのようなファイルとリンクでのナレッジ管理、そしてChatGPT Atlasのブラウザメモリのような引き出し機能を融合したい、というわけだ。
 では具体的にどう融合するか、私はマークダウンに加え、ウェブページのHTMLを自分の必要なページ単位で知識として保存し、そこにAI検索機能を組み合わせたいと考える。現代に溢れている情報にはウェブページが多く含まれ、HTMLはハイパーテキストの形式を採用しており、それらウェブページ群は既にリンクにより体系化されている。また、元来ハイパーテキストとは「思考(非線形)とテキスト(線形)の差」による情報表現の不完全性に対する問題提起が起源であり、思考における非線形記憶作用をメタファするものであると斉藤(1998)は指摘した。ここから考えるに、HTMLによるウェブページ群は完成されたナレッジとしての素質があり、それはウィキペディアにみられるメディア表現から見て取れる。私はこのHTMLの持つ知識表現力をそのまま享受し、非線形の知識群を横断的かつ柔軟に検索できるAIを用いることで、効率的に情報を組織化できると考えた。それが私の考える新しいナレッジAIブラウザである。
 ブラウザで多くの情報を行き来しつつ、膨大に増えていく情報をマークダウンとして知識を記述・構築することは困難である。そこで、既に組織化されたHTML資産をナレッジとした、AIによる知識の引き出しを提供するナレッジAIブラウザを私は提案した。これにより、ブラウザから離れることなくナレッジベースを円滑に構築でき、ユーザーの意図や目的をAIが把握した上で的確な知識を抽出できると私は期待している。

斉藤 孝.情報リンクの基本理念.情報の科学と技術.1998,48(12),p.670-677.


これは、千葉工業大学のソフトメディア研究会での、2025年 津田沼祭で配布した会報 Vol.65に掲載した内容。